建物の話は尽きない。
そうだ最有効、しよう。


もとひら合同会社
不動産鑑定士一級建築士事務所
代表社員 本平幸男

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先ずは、鑑定×建築のコラムを一つ。
 
 更地の価値(≒価格)は、その土地に建てられる最も有効的なプランを前提に決まります。
それを踏まえ、土地の条件の違いが、価格にどう影響するかの一例を紹介します。
 
市街地の事務所ビル用の土地の場合、敷地の一つの面しか道路に接していない土地(中間画地)と比較して、角地の価格(単価)は、多くの場合、高くなります。
その要因の一つが建築基準法施行令121条の二方向避難(対角状に直通階段等が必要になる規定)であり、中間画地の場合、建物入り口から奥の方に通路が続き、一番奥にエレベーターがあり、その脇に避難の為の直通階段があるケースがあります。(1階通路は避難経路を兼用している)
これに対して、角地の場合は、二つの直通階段等が、それぞれ別の道路に近くに別々に設けられる為に、通路の面積が少なく、1階の貸室面積が多くとれ、結果として更地としての土地の価格(単価)も高くなることが多いです。
 どの程度、角地の価格(単価) が高くなるかは、中間画地と角地にそれぞれ最も有効的なプランを想定して、収益等の差を求める必要があります。
 不動産鑑定において、その場合の「最も有効的なプラン」 を最有効使用と言います。
 
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 自己紹介
私は、本業として建築施工管理(俗に現場監督)の仕事をしており、副業として不動産鑑定業の開業準備をしております。平日日中は、本業で時間が取れないことが殆どであり、お話を聞くのは、平日夕方以降や土曜日曜になります(※)が、建物のことでお困りごとがあれば、力になれればと考えております。何か訊きたいことがあれば、そうだメール、送ろう。  [email protected]   電話 080-1876-1588 
(※)土日がメインの工事を行っている時期は、反対に、平日日中の時間の融通きくようになりますが、22年秋現在、本業は、平日日中です。

         


 (冒頭のキャッチコピーは、↓↓JR東海のCMへのオマージュです)
【TVCM】1993年 盛秋「清水寺」そうだ 京都、行こう。 - YouTube


経歴  複数の会社で、低層木造や高層RC等の施工等の業務にあたり、現在に至る

他の資格  宅地建物取引士(未登録) / 行政書士(未登録) / 既存住宅状況調査資格者 / ベルカ建築総合管理士/北海道震災建築物応急危険度判定士/札幌市木造住宅耐震診断員

所属団体 公益社団法人日本不動産学会/公益社団法人日本都市計画学会

以下に、不動産鑑定評価制度に対する問題提起を述べています。

(収益還元法)

元本とは初期投資である

投資用マンションを購入しようとした者が、ある不動産鑑定士にマンション価格の鑑定を依頼したケースを考えます。その鑑定士は、純収益が 5000万円で還元利回りが 5.0% で、10億円(税別)と鑑定評価書を作成しました。依頼者は、その鑑定評価書を信じて、10億円(税別)で購入して、その後数年間の純収益も、鑑定評価書で想定した ほぼ年5000万でありました。依頼者は、ある時ふと利回りがどうなっているかが気になって計算してみると、それは、4.7% となりました。えっ、なんで? 買値も純収益も鑑定評価書の想定通りなのに、利回りは、還元利回り(※)5.0% から4.7% と下がっている。原因は、建物価格 6億(税別)に対する消費税 6000万円が、消費税法第30条10項の規定により、仕入税額控除もできず、その他に還付等を受けることもできません。鑑定士に文句を言っても始まりません。利回りを目標としていた 5.0%を確保する為には、今まで 月10万円で募集していた部屋は、消費税割合に相当する 6千円を上乗せして、月10万6千円で募集することにします。(以上は、長~い前書きです) 

もし、他の投資家も同じように考えて、本来予定していた家賃に消費税相当分を上乗せして家賃設定したらどうなるか。借りる方は、「最近高くなったなぁ」と思いながらも、それが相場だと思って借りるしかありません。家賃は、社会政策上、消費税がかからないようになっていますが、これでは、借主が実質上消費税を負担しています。
簡素な税制を実現するためにも「消費税法第30条10項の居住用建物は仕入税額控除不可」と「消費税法第6条1項の居住用建物の貸付は非課税」という規定は、セットで廃止した方が良いのかと!


  • 注・・・還元利回りは元本の変動率を含むので、文中の※は、正しくは基本利率ですが、便宜上、※還元利回りとしています。 


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基準策定者の方へ

直接還元法の式は、基準では、P=a/R となっていますが、この式で求められるのは初期投資額です。正しい不動産の価格は、「 P=a/R -付帯費用(例:居住用建物購入時の消費税)」なのではないかと考えます。上記の「5.0%→4.7% 」は、社会に受け入れられるのでしょうか。

(取引事例比較法)

地域の相場感重視に疑問

収益価格が標準となる土地の規模格差は必ず発生しますが、殆どの不動産鑑定では規模格差は設定されません。この規模格差を例として、個別的要因について「(相場との整合性ありきで)軽視」又は「(補正値の説明できず)放棄」している不動産鑑定が多いのが現実です。なお、前述の規模格差は、下記2点の関係でも説明できますが、補正値が±0(=規模に関わらず単価は同じ) であるとする鑑定士には、「下記の反証」または「±0の積極的な証明」をお願いしたいと思います。  



◎相関関係
東京都港区の地価公示地の規模と地価(単価)は、単回帰分析の結果、相関係数74%で下記の関係が得られます。
 地積 .   単価比  .   補正値(200m2基準)
100m2 .  75 -25
200m2 100 ± .  0
300m2 125 +25

◎因果関係
300m2 の画地は、100m2 の画地と比較して、そこに建てられる建物の ①使用建蔽率が大きい(犬走りの幅は不変)、②有効率が大きい(WC/階段などのコア部は同じ面積)、③建設単価が安い(固定費項目が薄まる)、④賃料単価が高い(実情) 為に、土地単価が高くなります。

(原価法)

減価があれば増価もある

住宅新報社刊の要説は、鑑定評価制度の市販の解説本なのに、何故、同制度を否定するような記載をするんだか?
 P178最終行からP179にかけて、積算価格が他二者と乖離する事例を挙げています。その乖離の理由は、下記2点のように、手法の運用方法が誤っているからと推測されます。
 
(その1)
国交省の資料 既存戸建住宅の評価に関する留意点https://www.mlit.go.jp/common/001098687.pdf によると、リフォームをした場合は、2枚目右側のように価格は上がります。資本的支出を行った時も同様に価格は上がりますが、殆どの鑑定評価書は、新築時(再調達原価)と残存耐用年数(価格ゼロ)を直線で結んでいるだけです。

(その2)
RC造やS造の建物が物理的減価で価格が減少するのは、再度新たな新耐震設計に改正されるか、不適切な施工によるものであって、構造体としての強度が設計以下になることによる減価は稀です。躯体も解体されるのは、殆どが機能的減価(時代に合わないプランや最新の空調システムに対応できない躯体等)か経済的減価(市場性の減退等)によるものです。しかし、殆どの鑑定評価書は、耐用年数を、(税法の)法定耐用年数等で一律設定しています。

実務修習生の方々へ

「建築形態規制と建築計画」を独学で
理解するのは困難かと思います。
近日中に、要点解説U-tubeを
順次投稿する予定です。
もし、宜しければ、
スライド原稿
見ながら
音声



不動産×建築 その1 - YouTube


実務修習生の為の建物のはなし.pdf - Google ドライブ

土地
価格比準表
で説明できるか?
東京区部商業地の二方路、
どんな時に優位性を発揮するか?
(「補正率が大きいと」読替えてください)
一つは、駐車場附置義務が生じる規模の場合。
更には、採光の関係で、居住系の可能性が出る場合。
しかし、良いことばかりではありません。
反対に、不利に働くこともあります。
道路斜線が二方からかかるので
指定容積率を消化できない
ことがあります。
つづく!

 

関係各位の方々へ

資本的支出と修繕、この二つの言葉、基準各論第3章第5節Ⅱ(1)に定義がありますが、これを違いを理解し、工事履歴にある(or行われる予定の)工事がどちらに該当するか判断できる不動産鑑定士は、どれ位おられるのでしょうか。複合不動産の資本的支出(額)を再調達原価に 0.7%等の掛率を乗じて算出している不動産鑑定士は、理解できていないと思われます。何故なら、資本的支出の金額は、工事履歴や建物劣化状況を踏まえた長期維持保全計画書(マンションの場合は大規模修繕計画書)から資本的支出の工事金額を抜き出し割引率を用いて平準化し、直接的に額として算出するものです。従って、掛け率で算出している不動産鑑定評価書は、建物の物理的減価という個別的要因に関して、調査範囲等条件を設定しているのかと思われます。


建物劣化に関する工事については、ロングライル推進協会(ベルカ)での区分(※)を踏まえ、その区分と標記の言葉とを下記のように対応させることが、建物の物性等に即し、かつ(客観的に区分しやすく)実務的にも良いかと考えています。(※この区分は、ベルカが正式に公表している定義ではありません)

  • 更新(建材や設備機器を交換して新築時のレベルに戻す工事)や改修(新築時のレベル以上に変更する工事 ) が、資本的支出
  • 修繕(使用する上で、支障のないレベルまで戻す経常的な工事) が、修繕費

上記の例示として、屋上アスファルト防水の場合、全面張替ると、新たな防水保証(10年)も得られる “新築時のレベル” であり、更新つまり資本的支出に該当します。また、遮熱劣化防止用のトップコートの塗直しは、修繕に該当します。この点、税法においてもベルカと同様の定義で区分けしていますが、金額要件等で振り分けられることもあり、物理的実態にそぐわない点もあります。


更に、標記の区分けに混乱をきたしている要因として、標記の言葉と国土交通省HP等でみられる言葉の区分の対応関係が、下記の通りであることが挙げられます。

  • 資本的支出に該当するものも修繕費に該当するものも、国土交通省では、区別することなく “修繕” と呼びます。(建築基準法も同様か!)
  • 資本的支出に該当するものを、国土交通省では “大規模修繕” と呼ぶのかもしれませんが、そもそも大規模修繕とはマンションだけで言うのであって、事務所ビルでは言わないので......

これでは、資本的支出と修繕の違いを理解しようとする気も放棄したくなります。


住宅新報社刊の要説P175の9行目に「修繕や更新」との文言があり、この部分を執筆されている方は、ベルカの区分を認識して、各工事を明確に資本的支出と修繕に振り分けられているかと思いますが、このような方が業界内で啓蒙して頂けたらと考えております。

行政府の方々へ

 鑑定評価制度の信頼回復の為の意見です。
下記の地価公示等の誤りは正すべきかと思います。
●開発法 基本式は理論的に誤りです。 投下資本収益率と称する数値は、目標とする試算価格に近付けるために操作する数字にすぎません。何故なら、開発法基本式は、管理会計の分野のIRR法をベースにしてますが、IRR法は資金制約があることが前提となっていますが、通常のマンション開発事業は、銀行借り入れで資金調達しており資金制約はないからです。H28国交省立入検査(3)⑪で容認の控除法を採用すべきです。
●土地残余法 複合不動産の鑑定において (更新工事の履歴等の個別的要因を考慮しないときに) 採用される「資本的支出/再調達原価」の比率は、0.7 % 前後が多く、これは建物のLCCの実態を示しているのだろうと思います。一方、土地残余法においての各構成割合/耐用年数を「仕上 30%/30年・設備30%/15年(※)」とすると、上記比率は、3.0% (=30×(1/30+1/15) に相当し、0.7 % との開差が明確です。前述※ の設定は、建物の更新年限の実態にあってなく、※を前提とした試算価格は、適正な価格とは言えません。(地価公示の収益価格が安価な理由でもあります)
●取引事例比較法 R4.4.19 最高裁判決を例とし、路線価が実態に整合してないのは公知の事実です。適切な選択(総論7/1/Ⅲ2.(1))をし、”比準表による画一的な補正” ではなく ”実態に即した正しい補正” を行えば起きないことかと考えます。
 
 


 
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